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勤労者同盟のルーツ

 勤労者同盟のルーツは、大正元年(1912年)友愛会の設立から始まります。

 友愛会は後に労働組合として発展し、多くの争議を経験したり、政治的弾圧を受けたり、また労働組合の指導理念の相違により離合集散を繰り返し、幾多の苦難を乗り越え、今日の民主的労働運動へと発展してきました。

 勤労者同盟は、創始者である鈴木文治や、貧民街の聖者ともいわれた賀川豊彦、総同盟・同盟(全日本労働総同盟)運動の中心的存在であった天池清次、そして全金同盟東京地方金属を結成し労使関係の祖とも言われる早矢仕不二夫らの、民主的労働運動を継承して今日に至っております。

1          鈴木文治

  友愛会(労働組合)創始者。日本の労働運動の草分け的存在。

 宮城県栗原郡金成村(現在の栗原市)に生まれ、東京帝国大学法科大学を卒業後、秀英舎(現在の大日本印刷)を経て、東京朝日新聞社に入社、貧民問題の取材に取りくみ、14人の賛同者とともに「友愛会(労働組合)」を発足させ、労働者の人格の尊重を訴えながら、労働争議の指導調停や啓蒙活動に取り組んだ。

 また、社会民衆党結成に参画し旧大阪4区から立候補し当選。日本初の無産政党議員のひとりとなる。

 日本労働総同盟の会長時代おおらかな人柄で、松岡駒吉・西尾末広・麻生久・賀川豊彦・野坂参三ら多彩な人材に恵まれ日本の労働運動を定着させた。

鈴木文治の紹介は、インターネット「鈴木文治」より抜粋。

​文献 吉田千代著「評伝鈴木文治」・日本評論社

 

2          賀川豊彦

  大正・昭和期のキリスト教運動家で、戦前日本の労働運動・農民運動・無産政党運動・生活協同組合運動において、貴重な役割を担う。日本農民組合を創設し、キリスト教における博愛精神を実践し、「貧民街の聖者」として日本以上に世界的な知名度が高く、茅ヶ崎の平和学園の創始者でもある。

 労働運動では、神戸の三菱造船所(現・三菱重工業神戸造船所)・川崎造船所(現・川崎造船神戸工場)における大争議を指導するも、会社側の強健な対応により敗北を喫し、これを契機に関西の労働運動は急進的な方向となる。

 また、関東大震災の被災者救済をきっかけに、本所基督教産業青年会を発足し、貧民診療所などを経営した。

日本初のノーベル賞候補者で「ドイツのシュバイツアー、インドのガンジー、日本のカガワ」と3大偉人の一人と称された。

賀川豊彦の紹介は、インターネット「賀川豊彦」より抜粋。

出世作小説「死線を越えて」

3          天池清次

  東京市(現・東京都)出身で、昭和2年7月14歳で総同盟に加入、この時期総同盟において松岡駒吉を先頭に労働組合主義確立のため奮闘の最中であり、総同盟内の共産主義者を排除し、団体協約運動を推進、総合信頼の労使関係を築き、相互扶助に基づく共済事業を行うなど、労働組合主義の道を開いた。

 戦前・戦争がたけなわとなり、軍部ファシズムの台頭となって労働組合を弾圧し、産業報告会をもってそれに代えんとした。総同盟はあくまでこれに反対し、信念を曲げずに自発的に解散し、解散後も松岡駒吉・西尾末廣氏らの最高幹部は筋を守り通した

 また、戦後はGHQ労働課は日本の労働運動を誤認し、左翼である総評結成を支援し、総同盟を圧迫したのである。しかし、総同盟はこれに屈せず民主化運動と提携して、全労・同盟へと組織を発展させ、同盟(全日本労働総同盟)の躍進とともに労働組合主義の全盛期を支えた中心人物の一人である。

天池清次の紹介は、インターネット「天池清次」より抜粋。

​文献「労働運動の証言」オーラルヒストリー

4          早矢仕不二夫

 終戦直後から労働運動に身を投じ、全国金属産業労働組合同盟(全金同盟)の再建・東京金属労働組合の結成と拡大に奮闘したが、金属産業には中小企業が多く、労働組合組織を根付かせるために大企業にはない努力を必要とした。中小企業労働組合の場合、企業内に専従組合員を置けないケースも多く、組合の組織・制度も整えられていない。また、中小企業の経営者は創業者もしくはオーナーが多く、彼らは自社の従業員に対して家族主義的態度を取るので、実際労働組合活動が定着しにくい特質を持っている。

 こうした中小企業の難しい中で、生産性向上運動、中小企業の統一労働協約の締結などを通して、中小企業労働運動に徹し、労使双方から信頼され、「生涯現役」のオルガナイザーとして活躍した。

 機械金属の中小企業の労働組合運動の中で、オルグ活動に最も力を入れ、争議指導・賃上げ指導。解雇反対闘争など指導した。

早矢仕不二夫の紹介は、インターネット「早矢仕不二夫」より抜粋。

​文献 梅崎修・島西智輝・南雲智映編「早矢仕不二夫オーラルヒストリー」早矢仕不二夫「ほんとの自分を生きる」

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